夜勤を終えるとその日から生活の時間が狂い始める。
昼夜は逆転し、倦怠感との戦い。
深夜十二時に目が覚め、空腹に気付いた俺は階下へ降り、
夜食を作る事にしました。 冷蔵庫の「奥の間」には焼きそばが
鎮座し、調理される瞬間を待っていました。
普通ならばキャベツや肉を炒めて入れるところを、以前包丁で
指を切った事から、すすんで扱いたいものではなく、焼きそばのみを
炒めました。
三人前の焼きそばを、少量の油を引いたステンレスのフライパンで
弱火にかけ、放置。 しばらくすると油の爆ぜる音とともに、かぐわしい
香りが漂ってきました。 が、さらに放置。
表面がパリパリになった
焼きそばを、皿に盛り付けます。
具が入っていない為に、付属の粉末ソースは半分だけに留め、
薄味で「もう少しかけようかな。 むしろかけたい。」という微妙な
味付けを施す。
粉末ソースは半分も余っているが、それを我慢してムラつく心を
抑えながらの、マゾヒスティックな官能に身を焦がしながらの食事。
しかしその感覚は自身が与えているのだからサディスティックである
とも言え、ボディビルのようだ。と思いながら夜食を楽しみました。
すぐ隣ではいつの間にか親父が座っており、テレビに映った
外人の、手品講座を黙って見詰めていました。
通販で買った
ビデオだそうです。
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